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平成29年01月10日掲載 ニックネーム : 水上機ハンター様
Q :

すべてのタイプではありませんがDHC-2ビーバー、グラマンG-21グース、ビーチ18.は、P&W ワスプジュニアのエンジンをつけていますが、985-の後ろの文字が少しずつ違います。互換性はあるのですか。

   
A :
Pratt & Whitneyの9気筒、単列空冷星型ワスプジュニア・シリーズエンジンは、P&Wが最初に製造した航空用エンジンである、R-1340ワスプ エンジンを中・小型機用にしたものです。
1930年から製造され、第二次大戦後も小型機用の手頃で信頼性があるエンジンとして各種の型式が40,000台も生産されたが、現在でも現役で数多く使用され続けています。
個々のエンジンの正式な型式名称は、製造時にエンジン本体に取り付けられたネームプレート又は刻印で表示されており、因みにシリーズで最初に製造されたエンジンは、R-985 -1(民間名:Wasp Junior A)で、離陸出力も300 HP程でした。
その後作られた各型では、エンジン回転及びシリンダー圧縮比を上げ、さらに過給機(スーパーチャージャー)を装備したことで、離陸出力は450HPが標準(R-985-AN-1, Wasp Junior SB 等)となっています。

なお、エンジン名称としてのR-985-XXシリーズは、軍用型として生産されたもので、民間機用のエンジンは、ワスプジュニアXXXの型式名が正式です。但し、生産数としては、第二次大戦中及び前後に作られたR-985 軍用エンジンが圧倒的に多かったことから、製造者はFAAの型式証明(T.C.No 5E-1)を軍用エンジンに対しても取得し、使用できるようになっています。

質問を整理すると、DHC-2 Mk.1(ビーバー)の例では、使用が認められたエンジンは、P&W Wasp Jr. SB-3.であるが、他にオプションとして、軍用型のR-985-AN2、-AN14B、-AN-1等のエンジンも使用可能とされており、エンジンリミット等、多少の変更が伴うことの条件も設定されています。
結論として、R-985の型式名、-XX以降等で互換性があるかとの質問に対する答えは、基本的に互換性が無いとするのが、一般的な航空用エンジンを含め結論です。

他の例として、ピックアップ写真舘 Vol 3(小型機)の中で紹介したWeatherly 201B型 農業機は、R-985-AN1、-AN-3、-AN-14Bが搭載を認められたエンジン型式で、整備士が実施する整備では、これ以外の種類のエンジンの換装等はできません。
なお、搭載されているR-985-AN-1エンジンを、-AN-14Bに換装する場合では、離陸時の最大出力(450HP)は変わりませんが、その際の吸気圧(MAP)の設定が37.5inHgから36.5inHgと変わるため、計器表示の変更等も必要となります。

また参考事項として、R-985エンジンは、イクスプリメンタル・カテゴリーの自作機、エアレース機等にも装備されており、入手したエンジン等を自分で改造し、FAAの検査により個々の飛行許可(操縦者、飛行エリア等の制限がある)を得て、使用されるため、その際は、自分の責任になるため、元の型式名等は関係なく使用されることもあります。
言わば自動車レース等に出場するため、自分の車のエンジンをチューンナップ、公道を走ることはできないが、レース場のみを許可を得て走るようなものです。

なお、R-985エンジンは、相当前に製造が終了しているため、O/H時等、部品の入手の問題がありますが、軍のストックが大量にあったことで、国の放出品(サープラスニュー)が比較的多く入手可能であったこと、技術的に旧型ピストンエンジンであれば、ある程度の部品の製造も可能である等から、一般的には必要となる、製造メーカーの証明等はなくても、信頼のあるオーバーホーラー等を選ぶことで、ある程度、同等の品質の確保も可能となっています。


 

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