航空関係用語解説
・資料提供 : 航空振興室(空港支援機構)・出典 : 数字でみる航空 2018
・出典:国土交通省ホームページ
・出典:「航空保安大学校」(国土交通省)
INS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置のことで,航空機の加速度を積分計算し,速度と移動距離を得,航空機の位置,目的地までの距離,飛行時間等航法上必要な資料を得る自蔵航法装置である。
ITC(Inclusive Tour Charter)
地上部分におけるツアー等と航空運送とを組み合わせた包括旅行チャーターのことである。国際旅客の運送に係るチャーターの類型が我が国において認められているものには,このほか,アフィニティーグループチャーター(旅行の実施以外を目的とする類縁団体のためのチャーター)とオウンユースチャーター(個人・会社等が航空機1機を貸切り,これをその顧客等に利用させるためのチャーター)があるが,ITCは特に一般公募が可能であるという点で,これら二つのチャーターと異なっている。
Lden
Ldenとは、時間帯補正等価騒音レベルのことで、算式(ア) により1日ごとのLdenを算出し、全測定日のLdenについては、 算式(イ)によりパワー平均を算出するものである。 Ldenは、わが国における航空機騒音の評価指標として、平 成25年4月1日より適用している。
NDB(Non Directional Radio Beacon)
無指向性無線標識施設のことで,航空路の要所又は空港に設置される。中長波帯の無指向性電波を発射し,航空機上で自動方向探知機(ADF:Automatic Directional Finder)を使用して地上施設(NDB)の方向を探知できるようにする施設である。NOTAM(Notice to Airmen) ノータムのことで,航空保安諸施設,業務,方式及び航空に危険をおよぼすもの等の設定,状態又は変更に関する情報で,書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な場合に通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるもの。
NOTAM(Notice to Airmen)
ノータムのことで,航空保安諸施設,業務,方式及び航空に危険をおよぼすもの等の設定,状態又は変更に関する情報で,書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な場合に通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるもの。
ODP(Oceanic Air Traffic Control Data Processing System)
洋上管制データ表示システムのことで,洋上を飛行する航空機から通報される位置情報及び衛星を利用した情報とFDMSからの飛行計画ファイルを基に,航空機の予測位置,便名等を表示するシステム。
ORSR(Oceanic Route Surveillance Radar)
洋上航空路監視レーダーのことで,ARSRの覆域が不足している洋上空域にある航空機を監視するためのレーダーであり,レーダーサイトから約460㎞ 以内の空域にある航空機を探知することができ,洋上における航空路管制業務に使用される。
PAR(Precision Approach Radar)
精測進入レーダーのことで,計器飛行方式で最終進入する航空機の進入路及び降下路からのずれ並びに設置点までの距離を探知し,安全に着陸させるよう誘導するためのものである。
PAPI(Precision Approach Path Indicator)
昭和58年11月24日適用の第14付属書改訂で,進入角指示灯の一つとして,ICAO国際基準となった進入援助用灯火である。その原理は,設定仰角の異なる4つの灯器ユニットから投射される灯光(上層が白色光,下層が赤色光)により5種類の信号を作りだすものであり,ピンクゾーン(白/赤の転移層)の幅が3分以下ときわめて小さいため,各信号間の見え方の変化はきわめてシャープでディジタル的である。また,信号精度が高く,単一バーを構成しているため,着陸に際しての明確なエイミングポイントとなりうる。
PEX運賃(Instant Purchase Excursion Fare:即時購入回遊運賃)
航空事業者及び旅行業者が利用者に対して直接販売する航空券に適用される割引運賃。有効期間,必要旅行日数,途中降機等について普通運賃より制限が付されている。
RAG(Remote Air-Ground Communication)
リモート対空通信施設のことで,管制機関又は運航情報機関の設置されていない空港に設置され,当該空港を管轄FSCから遠隔運用されるVHFの空港用対空通信施設である。これにより要員が配置されていない空港等に離着陸する航空機との直接交信が可能となる。
RCAG(Remote Center Air-Ground Communication)
遠隔対空通信施設のことで,航空路管制機関(ACC)から遠隔制御されるVHF,UHFの航空路用対空通信施設である。これにより,遠隔地の航空機と管制機関との直接交信が可能となる。
RCC(Rescue Coordination Center)
航空機の捜索救難に関する協定(警察庁,防衛省,国土交通省(航空局),海上保安庁及び消防庁の関係機関により締結)に基づき,東京空港事務所に設置されている救難調整本部のことで,航空機が遭難又は行方不明になった場合に,関係機関が行う捜索・救難(SAR)活動について業務調整を行う機関である。
RDP(Radar Data Processing System)
航空路レーダー情報処理システムのことで,全国の航空路監視レーダー等からのレーダー情報及びFDPSから提供された飛行計画ファイルを処理し,IECS表示画面に航空機の位置を示すシンボル,便名,高度及び速度等を表示するシステムである。
RVR(Runway Visual Range)
滑走路の中心線上の航空機の操縦士が,滑走路面の標識又は滑走路の輪郭を示す灯火若しくは滑走路の中心線を識別する灯火を見ることができる最大距離のことである。滑走路脇に設置された観測装置で大気中の消散係数と周囲の明るさを測定し、滑走路灯、滑走路中心線灯の光度設定値も取込むことにより求めている。
SRR(Search And Rescue Region)
捜索救難区のことで,各国が航空機の捜索救難業務の責任を負う区域としてICAOで決定される。我が国が責任を負う区域は東京捜索救難区(TOKYO SRR)であり,福岡FIRの区域と一致する。
SSR(Secondary Surveillance Radar)
二次監視レーダーのことで,ARSRまたはASRと組み合わせて使用する。航空機は,この装置から発する質問電波を受信すると,機上のATCトランスポンダー(航空交通管制用自動応答装置)から各機に固有の応答信号を発射し,地上のレーダー表示画面上に航空機の識別,高度並びに緊急事態の発生等を表示する。
TCA(Terminal Control Area)
進入管制区内の公示された空域であって,レーダー識別されたVFR機に対して当該機の要求に基づくレーダー誘導,当該機の位置情報の提供,進入順位及び待機の助言,レーダー交通情報の提供等の業務が実施される空域をいう。
TACAN(Tactical Air Navigation System)
極超短波全方向方位距離測定装置のことで,軍用を目的として開発されたもので,極超短波を使用し方位及び距離情報を同時に提供する施設である。TACANの距離測定部はDMEと同じ機能のため,VORと併設しVORTACとすることにより,民間航空用の標準施設であるVOR/DMEと同様な使用が可能である。
TAPS(Trajectorized Airport Traffic Data Processing System)
空港管制処理システムのことで,航空管制官による飛行場管制業務及びターミナルレーダー管制業務の実施を支援するための情報処理を行う。
TEAM(Trajectorized Enhanced Aviation Management)
航空交通管理処理システムのことで,航空交通管理管制官による空域管理,航空交通流管理及び航空交通管理管制運航情報官による航空交通管理情報業務を支援するための情報処理を行う。
TEPS(Trajectorized En-route Traffic Data Processing System)
航空路管制処理システムのことで,航空管制官による航空路管制業務の実施を支援するための情報処理を行う。
TOPS(Trajectorized Oceanic Traffic Data Processing System)
洋上管制処理システムのことで,航空管制官による洋上管制業務の実施を支援するための情報処理を行う。
TRAD(Terminal Radar Alphanumeric Display System)
空港レーダー情報処理システムのことで,ARTSが設置されないターミナル管制所に設置された空港用レーダー情報を処理するためのシステム。ARTSに比べ処理内容及び表示機数等は少ないが,ARTSの主要機能は備えている。
VAAC(Volcanic Ash Advisory Center)
航空路火山灰情報センターのことで,航空機の火山灰による災害を防止するため,火山灰の状況を監視・解析し,各国の気象監視局等へ情報を提供している機関である。現在,世界に9つのVAACがあり,気象庁は東京VAACとして,東アジア・北西太平洋地域を担当している。
VOLMET
飛行中の航空機が,航行の安全を図るため目的地の主要空港の気象状態を把握できるよう,短波又は超短波の無線電話により定常的に行っている放送である。東京ボルメット放送(東京ボルメット無線電話通報)は気象庁本庁が担当し,7空港の定時実況報,5空港の着陸用飛行場予報,2空港の運航用飛行場予報,福岡FIR及びインチョンFIRのシグメット情報の発表状況を,毎時10分からと40分からのそれぞれ5分間,英語の平文を用いて放送している。
VOR(VHF Omnidirectional Radio Range)
超短波全方向式無線標識施設のことで,超短波を用いて有効到達距離内のすべての航空機に対し,VOR施設からの磁北に対する方位を連続的に指示することができ,航空路の要所にVOR施設を設置することにより航空機は,正確に航空路を飛行することができる。また,V H F帯を利用しているため雷雨等の影響が少なく飛行コースを正確に指示することができる。
WMO(World Meteorological Organization)
世界の気象業務の調和と統一のとれた発展及び推進に資するために設けられた国際連合の専門機関の一つで,1950年に世界気象機関条約に基づき設立された。2013年1月現在,185ヵ国及び6領域(香港等)が構成員として加盟している(我が国は1953年に加盟)。事務局は,スイス連邦のジュネーブ市に置かれている。
鉛直視程
鉛直視程とは,降水又は視程障害現象により上空の見通しがさえぎられている場合の鉛直方向の最大可視距離をいい,飛行場の標高からの距離で表す。航空気象観測においては,飛行場が霧や雨や雪などの視程障害現象にさえぎられて,上空が見えない場合は,鉛直視程を観測し通報する。
管 制
航空機の衝突事故防止のため,航空機間及び他の障害物との安全間隔を設定するとともに,航空交通の秩序ある流れを維持・促進することを管制という。これは,地上からの指示によって行われ,その種類は大きく分類して,航空路管制と飛行場周辺の管制に区分され,後者には,飛行場管制,進入管制,ターミナル・レーダー管制及び着陸誘導管制がある。
型式証明
航空機の型式の設計並びに当該型式の航空機の製造過程及び完成後の現状について安全性,騒音及び発動機排出物に関する基準に適合することを国土交通大臣が証明すること(航空法第12条)。耐空証明が各機に対して行われるのに対し,型式証明は同一型式に対し一度行われる。型式証明を受けた型式の航空機について耐空証明検査を行う場合,その設計及び製造過程についての検査の一部を省略することができる(航空法10条第5項)。
空港気象ドップラーライダー
空港気象ドップラーライダーは,空港を中心とする半径約10㎞以内の空域において,離着陸時に影響を及ぼす低層ウィンドシアー(大気下層の風の急激な変化)を非降水時に捉えるための装置である。
空港気象ドップラーレーダー
空港気象ドップラーレーダーは,空港を中心とする半径約120㎞以内の空域における降水の強度と分布,降水域の気流の乱れの強さを観測するとともに,半径約20㎞以内の空域において,離着陸時に影響を及ぼす低層ウィンドシアーを降水時に捉えるための装置である。
航空気象観測
航空機が安全に離着陸できるように飛行場とその周辺における気象現象の推移を常に監視し,最も新しい気象実況を提供するものである。観測項目は,風向風速,視程,RVR,現在天気,雲形,雲量,雲底の高さ,気温,露点温度,気圧がある。観測は,定められた時刻に行う定時観測(METAR)と定時観測の間に気象現象の重要な変化を認めたときに特定の基準に従って行う特別観測(SPECI)がある。
航空機と飛行機
航空機は,航空法において「人が乗って航空の用に供することができる機器」と定義され,飛行機,回転翼航空機,滑空機及び飛行船がこの範ちゅうに入る。即ち,飛行機は航空機の一種であり,推進装置を有し,固定翼に生ずる揚力によって飛行するものをいう。
航空交通管制区
航空交通管制区とは,航空交通の安全のために地表又は水面から200m以上で,国土交通大臣が指定する空域をいい,航空交通管制圏以外の飛行場周辺の空域等が指定され,ほとんど日本全域が航空交通管制区で覆われている。ここを飛行する航空機に対し,管制を行うなど種々の安全措置が講じられている。
航空交通管制圏
航空交通管制圏とは,航空交通の安全のために国土交通大臣が指定する離着陸が頻繁に行なわれる飛行場周辺の空域をいい,ここにおいては,離着陸する航空機に対し,主として飛行場管制が行われ,航空機の安全確保が図られている。
航空情報
航空法第99条の規定により国土交通大臣が航空機乗組員に対し提供する航空機の運航のために必要な情報であり,航空路誌(AIP),航空路誌改訂版(AIP Amendment),航空路誌補足版(AIP Supplement),ノータム(NOTAM),航空情報サーキューラー(AIC)等がある。航空情報の発行は,関係機関からの資料の提出により航空局で行われている。
航空路
航空路とは,航空機の航行に適する空中の通路として国土交通大臣が指定するものをいう。その幅は原則として14㎞であり,地上の航空保安無線施設等を結んで全国各地に指定されている。航空路の名称は,英字(A,B,G,R,V)及び数字(1〜999)により表わされ,国際航空路については,A,B,G,Rを,国内航空路についてはVを使用している。
高度計規正値
ある基準高度面からの気圧高度を求めることができるように,航空機の気圧高度計の原点を規正する(合わせる)ための気圧をいう。高度計規正値には,QNH,QFE及びQNE等がある。わが国ではQNHが通報される。QNHは,滑走路に着陸した航空機の気圧高度計が滑走路の標高を示すように,気圧高度計原点を平均海面上3メートルの高さに合わせるための気圧値である。
シグメット情報(SIGMET)
各F IRを対象に発表される空域気象情報のことで,雷電,台風,乱気流,着氷,火山の噴煙等が予想されるか又は観測されたものが持続すると予想される場合に発表される。我が国では気象庁本庁が福岡FIRを担当している。
シーリング(Ceiling)
現在は,気象用語としての定義はないが,航空交通関係者は,「雲量が5/8以上の最低雲層の雲底の高さ,または,鉛直視程をシーリング」ということがあり,航空路誌(AIP)の離陸の最低気象条件の欄では,「CEIL」または「C」という記号で示している。
進入管制区
進入管制区とは,航空交通管制圏内の飛行場からの離陸に引き続く上昇飛行,同飛行場への着陸に先行する降下飛行を計器飛行方式により飛行する航空機に対して国土交通大臣が航空交通管制を行う空域をいい,平成27年4月現在29ヶ所の空域が指定されている。この空域を飛行する航空機に対しては,進入管制及びターミナル・レーダー管制が行われるなど航空機の安全確保が図られている。
耐空証明
航空機について,安全性,騒音及び発動機排出物に関する基準に適合することを国土交通大臣が証明すること(航空法第10条)。耐空証明を有しない航空機は,航空の用に供することができない(航空法第11条)。
飛行場と空港
飛行場とは,航空機が離着陸し得る諸施設の総体として一般に使用されている言葉であるが,明確な定義は存在しない。一方空港は,空港法においては「公共の用に供する飛行場(共用空港を除く。)」と定義され,具体的には,東京国際空港,中部国際空港等個々の飛行場を指定して何々空港と呼び,空港整備に関する費用の負担補助等の法的効果を与えている。
飛行場予報
離着陸する航空機及び飛行計画作成に必要な風向風速,視程,天気,雲量,雲底の高さについての量的・時系列的予報のことで,我が国では主要空港を対象に発表される。運航用,着陸用,離陸用の3種類の飛行場予報がある。
dB(A)・EPNL・WECPNL
■dB(A)は,騒音レベルの大きさの単位であり,人間の騒音の 大きさに対する感覚に近い周波数補正特性のAを用いて測定さ れたものをいう
■EPNL(Effective Perceived Noise Level:実効感覚騒音レ ベル)は,航空機騒音測定のために考案されたもので,航空機 騒音の特異音や継続時間の違いによるうるささを評価するため の尺度である。
■WECPNL(Weighted Equivalent Continuous PerceivedNoise Level:加重等価平均感覚騒音レベル)は,通過全航空機の 騒音を夕方及び夜間の分を加重してたしあわせ,1日あたりの騒 音のうるささを評価する尺度である。なお,わが国ではWECPNLの略算式として,平成25年3月まで,次の式を用いていた。
●WECPNL≒dB(A)+10 logN−27dB(A):通過全航空機の騒音レベルのピーク値をパワー 平均したもの N:通過全航空機数(19時から22時は3倍に,22時 から翌朝7時までは10倍に加重)
※平成25年4月以降は、Ldenにより評価している。
卓越視程
観測者が全方向(360度)の水平視程を観測したとき,180度以上の範囲に共通した,最大水平視程をいう。航空で通報される視程は,この卓越視程である。操縦士等の不足に対応し、操縦士、整備士・製造技術者の養成・確保のための対策を検討するため、平成25年12月、交通政策審議会航空分科会基本政策部会及び技術・安全部会の下に「乗員政策等検討合同小委員会」を設置した。同小委員会は、平成26年7月に取りまとめを行っており、これを受けて、各種対策について航空局で検討を進めている。短期的課題への対応は概ね完了しており、また中長期的課題への対応についても産官学からなる協議会において検討を進めている。