ピックアップ写真館 Vol.03 : 小型機 Part.1〕
2021/08/21 ピックアップ写真館この写真舘では、今まで皆さんも見る機会が多かった大型機、旅客機等を中心に紹介していましたが、何らかの航空関係を志す場合、凡て小型機から勉強し、徐々に大型機等に移っていくことが一般的です。
今回は、航空機の世界での色々な種類、目的等による小型機を中心に紹介します。
文・写真 : 鈴木 宣勝
セスナ172K JA3520 日本産業航空〔1976年頃の正月、京都上空にて〕
私が自家用ライセンスを取得した八尾の飛行クラブでは、毎年恒例の正月の初飛行を、京都八幡市の石清水八幡宮の近くにある飛行神社へ、上空からの初詣を行なっていた。セスナ172型は、操縦訓練、写真撮影等ジェネアビ(General Aviation)機の代表的な機種である。このJA3520は、航空局の実地試験でも使用した思い出深い機体であり、このときはセスナ172型6機の編隊飛行を行った。
なお、飛行神社は1891年、日本で初めて動力付き模型飛行機の飛行実験に成功した二宮忠八が、その後ライト兄弟により発明された飛行機の航空事故による犠牲者に心を痛め創建した神社で、航空関係者ではよく知られている神社でもある。
ストルプSA-300 スターダスターツー 自作航空機
この機体は、東京都立航空工業高等専門学校が、学生の卒業研究用に、ストルプ社からホームビルド(自作)複葉機の図面を入手し製作した機体である。1977年に埼玉県の桶川飛行場で初飛行に成功、現在でも南千住の科学技術館(F.A.M.E.ギャラリー)で展示されており、見学することができる。写真は、桶川で試験飛行中のものである。私も自家用ライセンスを取得した直後で、飛行を楽しんでいたころである。写真を撮るために私にとっては離陸時からの編隊飛行の経験等、思い出深いものがある。製作した学生達にとってもより思い出深く、感激されたものであろう。
PZL SDZ48-1 Jantar Std2 JA2260 グライダー(単座ソアラー)
ポーランドのPZL社が製造した全面グラスファイバーの一人乗りグライダー。最良滑空比は38(1mの高度差で38m飛行)の高性能ソアラーで、写真は1980年代の千葉県の関宿滑空場上空である。
学生時代に各大学の航空部等で、最初に航空に志を持った方等も多いと思うが、スポーツの世界としての航空も、また別なカテゴリーとして存在している。
Weatherly 201B N1264W 農業用機
1974年3月、サンフランシスコからナパ行く途中、散布中をフリーウェイ上で見かけ、撮影したものである。
日本では、ヘリコプターを除き、普及することがなかった飛行機による農薬散布だが、農地の規模も格段に広い米国では、この実用1点張りの農業用機が活躍した。むき出しの星型エンジン(R-985)が特徴で、1トンもの薬剤を搭載している。主翼幅全面に装備されたスプレーノズルから効率よく散布する様子を見たときは、米国の広さと実力を改めて実感した次第である。
Agricultural Aircraftが普及している米国では、パイロットの薬剤散布時のレイティングは別にあり、地上5 feetの高度を±1 feetで水平飛行する試験項目がある等を聞いており、このときの、パイロットの技量も実感できるものであった。
マッカロック J-2 オートジャイロ
McCulloch J-2は、エンジンメーカー、ジャイロプレーンとしても知られているMcCulloy社が1970年ごろ、米国の型式証明を取り80機以上量産された2人乗りのAutogyroである。
当時は、その離着陸性能(離陸距離は最低で10m以内)で、ロス市警が採用を発表する等、話題を撒いたが、その後製造権を買ったAero社(Super J-2)とも量産されることはなかった。
オートジャイロは、ヘリコプターが実用化される第二次大戦前からある正規の航空機のカテゴリーであるが、最近ではホームビルド(自作機)のジャイロプレーンとして普及されているのみである。