ピックアップ写真館 Vol.17 : 航空貨物輸送の時代 Part.1(レシプロエンジン機)
2021/09/04 ピックアップ写真館現在は、エアラインの旅客輸送より航空貨物部門が好調であり、航空貨物で運べないものがない等、大型ジェット貨物機の輸送力は目を見張るものがありますが、1960年、70年代の初期のレシプロ機時代にこれら航空貨物輸送の基礎が築かれており、代表的な機種を紹介します。更に、Part 2以降で飛躍的に輸送力が増大したタービン機(ターボプロップ、ジェット)を主体に、乗客として登場する機会もなく、余り馴染みのない貨物航空会社及び貨物機の数々の機種も紹介したいと思います。
文・写真 : 鈴木 宣勝
Aviation Traiders ATL-98 カーベア LX-IOH CN04 Interocean Airways 〔1964年 羽田空港〕
ATL-98 Carvairは、英国のAviation Traiders Limited( ATL )が、ダグラスDC-4をベースに開発したもので、ノーズから乗用車を5台、後部客席22席の仕様で、1961年から計21機製造されました。日本へは、1964年の東京オリンピック開催時に競技用のカヌーを運んだ(本項Vol:2で紹介)時のみの来日でしたが、このユニークな形態は、後の747F カーゴ機等と非常に似たものとなっています。
ダグラスDC-7CF 45121/798 N754PA Pan Am 〔1964年 羽田空港〕
1957年4月Pan Am(Pan American World Airways)へDC-7Cとして引き渡された機体ですが、707が就航ジェット化された以降 CLIPPER CARGO 機としてDC-7CFへ改修されました。この撮影の直後1965年8月には、貨物航空会社である Saturn Airways(N75476)へ売却され、その後は79年からLee Argyle社等で使用されています。
ダグラスDC-7CF 45184/816 PH-DSE KLM 〔1964年 羽田空港〕
1957年KLMへ引き渡されたDC-7Cですが、1960年DC-7CFへ改修 1969年頃まで使用されました。その後Aer Turas (EI-ATT)等で使用されています。
ダグラス DC-6A/B 44688/550 OD-AEG TMA 〔1966年 羽田空港 〕
Trans Mediterranean Airways ( TMA )は、レバノンの貨物航空会社で、この機体は中古のDC-6Bを、貨物用のDC-6A/B型へ改修され、羽田へ定期便として使用されました。
なお、TMAは、この後は、カナデアCL-44、その後はボーイング707と、より大型の貨物機で羽田の定期便を続けていました。
ダグラス DC-4 (C-54G) 36042 B-1016 Civil Air Transport (CAT) 〔1967年頃 羽田空港 〕
元C-54G(45-0589)で、台湾のCATが使用していたものを、レシプロ機が珍しくなった1967年頃、貨物チャーター機としてChina Airがリースしたものです。
ロッキード L-1049H cn4636 N174W フライングタイガー 〔1964年 立川基地〕
YC-121F(53-8157)の胴体とL-1049G(YV-C-AME c/n4636)の主翼エンジン等を組み合わせ修復したのがこの機体で、Flying Tiger Lineは1963年から66年の間使用(City of Naha)。その後1970年アラスカで着陸時にSnow Bankに接触大破(North Slope Supply Co,)しています。
ボーイング377 Pregnant Guppy N1024V Aero Spaceline 〔1974年 Van Nuys 空港 CA〕
B-377 PGは、1949年から60年までPAAで飛行していたSuper Storatocruiser(Clipper Cathay)を、その後 Aero Spacelinesが購入、NASAのサターンロケットの運搬用に改造されたもので、1962年このVanNuys空港で初飛行し、当時世界最大の輸送機でした。
その後のアポロ・ロケット等の輸送では、C-97J Turbo Stratocruiserをベースにした、より大型のタービンエンジン機の Super Guppy が1970年代から5機製造され、うち4機は、エアバス社でその後のA300ベルーガに代わるまで使用されました。1機のみ製造され、その後の大型貨物輸送機の原型ともなった、このプレグナント・グッピーは、1974年にAmerican Jet Industries に売却(N126AJ)され、1979年ころまで使用されました。