ピックアップ写真館 Vol.20 : 航空貨物輸送の時代 Part.4 (タービン貨物輸送機 CL-44D )
2021/09/07 ピックアップ写真館Part4では、前回Part3フライングタイガーの使用機としても紹介した、カナデアCL-44D型機について、当時航空貨物輸送が普及する切掛けを作ったとも言える機体ですが、馴染みがあり、その後に登場した大型ジェットの707、DC-8等と比較しても27機だけ製造機され、使用も短期間で有ったことで、原型となったブリストル175ブリタニア機も含め紹介します。
Canadair CL-44は、BOAC等で使用され、”ささやく巨人”と称された Bristol75 BiritaniaのエンジンをBristorl Proteus(4000HP)からR/R Tyne (5700HP)に変更、胴体延長等を行い高性能化したものです。
最初にカナダ空軍向けに12機製造されたCL-44-6 (CC-106 Yukon )が原型であり、1961年に東京からカナダのトロントまで10.860kmを平均400mph(640Km)で飛行、また滞空時間の23hr51minの記録を作り、1975年のB747SPの記録まで破られなかった経緯があり、CL-44Dは、その民間型で、貨物用にスイングテール化したものです。
文・写真 : 鈴木 宣勝
カナデア CL-44D4-6 cn29 N603SA Slick Airways〔1964年 横田基地〕
1962年製造、スリック航空が横田の米軍チャーター機として使用していた時のもので、1966年以降は、Airlift International、TMA(Trans Mediterranean Airways)等で使用されました。
カナデア CL-44D4-6 cn33 N604SA Airlift International 〔1966年 横田基地〕
1946年設立され、米国のCargo Airlineとして羽田や立川等でもよく見られたSlick Airwaysは、1966年Airlft Internationarlへ併合されて無くなりましたが、この機体も1966年 エアーリフト航空となり、横田で見ることができました。
カナデアCL-44D4-6 cn30 N123SW Seaboard World Airlines 〔1966年 羽田空港〕
シーボードワールド航空が最初に受領したCL-44D型で、1962年から68年まで使用していました。 なお、SWは米国- 英国の大西洋路線で最初に747Fを運行した会社でもありましたが、1980年にフライングタイガー航空に吸収され、そのFTもFedExに1989年に吸収されています。
カナデア CL-44D4-2 cn38 N121AE Aeron International Airlines 〔1986年 成田空港〕
1965年、Flying Tiger(N1002T)へ引き渡された機体ですが、1985年から88年ごろまで、このAeron International社で使用され、一度だけ成田へチャーター便で来ています。
カナデア CL-44D4-6 cn28 N602SA TMA 〔1967年 羽田空港〕
1962年製造され、Canadair(CF-NYC-X)社、Slick(66年からはAirlift)等で使用されていたが、1967年頃から、定期貨物便Trans Mediterranean Airways (TMA of Lebanon)の使用機として、羽田でも、その独特な貨物搭載の様子が見ることができました。
なお、TMA トランス・メディテラネアン航空は、レバノンの貨物航空会社で、羽田(その後成田)へも、DC-6、CL-44、その後 B-707の貨物機で乗り入れていましたが、中東情勢が不安定となってから休止し、現在は運航も停止しています。
カナデア CL-44J cn36 TF-LLG Cargolux Airlines 〔1970年 羽田空港〕
1964年CL-44D4-8型機として、アイスランドの Loftleidir Icelandic Airlinesへ引き渡された機体ですが、その後、4機のみ改造された胴体延長型CL-44J型に改造(乗客189人のFull PAX仕様)されていました。
Cargolux社では、1970年8月にFull Freighter型に改造して購入し、羽田へは、この直後に来日していましたが、同年1970年の12月 バングラデッシュのダッカ空港へアプローチ中、フライトコントロールのロックシステムの不具合で墜落、非常に短期間の使用機でした。
ブリストル175 ブリタニア312F cn13430 G-AOVS Lloid International Airways 〔1966年 羽田空港〕
CL-44の原型でもある、ブリストル175・ブリタニアのカーゴ型312Fで、元BOACで使用していた機体です。なお、Lloyd International Airwaysは1961創設されたイギリスの旅客/貨物のワールドワイド・チャーター専門の航空会社で、1972年には休止となりましたが、最後のころの使用機はBOACからのブリタニアが4機、PAAからの707を3機程使用していました。極東シンガポールと香港への貨物便を週2便程度飛ばしていた時期があり、羽田へも来たと思われます。