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ピックアップ写真館 Vol.21 : 航空貨物輸送の時代 Part.5( 貨物輸送機 ロッキード L-100シリーズ )

2021/09/08 ピックアップ写真館

Part5では、前回、長距離貨物輸送の切掛けを作ったカナデアCL-44D型機について紹介しましたが、一方、ロッキード社では、軍用の汎用貨物輸送機C-130ハーキュリーズの受注生産が好調であったことから、民間機としての販売も想定、1962年に配備が開始され重量アップ航続距離も伸びたC-130E型をベースに、民間型 L-100(Model 382)を開発しました。 1964年4月に初飛行、1965年2月に、初めてFAAの型式証明を取得した。
軍用型C-130シリーズは、エンジン及びプロペラ、装備機器等の変更はあるものの、基本設計は変わらないまま、現在までに各種の型が2,500機以上生産され、使用国85カ国以上と、現在でも代表的な汎用貨物輸送機として、生産、開発が続けられています。
民間型L-100は、胴体を延長したL-100-20(約2.5m)、更に2.03m 延長したL-100-30型があり、計114機が1992年までに生産されましたが、C-130の最新型であるC-130J スーパーハーキュリーズの民間型、LM-100J(Model 382J)も開発されており、今後更に生産が続くものと思われます。
最初に生産されたL-100のプロトタイプ(原型機N1130E )は、ファーストフライト後の1964年4月20-21日、25時間01分の世界記録の歴史的フライトを行っており、ロッキード社のデモ機としても、世界中を廻って良く知られた機体でした。
日本へは、航空自衛隊への売り込みとして1964年7月に来日、自衛隊習志野演習場の未舗装地でのデモフライト等を行いましたが、売り込みは成功せず、川崎C-1の採用となった経緯があります。 結果的には1984年になって、より航続性能がある輸送機としてC-130H型16機を、米国から購入しています。

文・写真 : 鈴木 宣勝

ロッキード L-100 sn3946 N1130E ロッキード社〔1964年 羽田空港〕

1964年4月の初飛行直後、7月に日本へ売り込みのデモフライトで来たときの撮影です。なお、この時点ではFAAの型式証明取得前で、飛行許可によるデモ飛行扱いでした。このN1130Eは1968年に胴体延長する改造を行い、L-100-20型のプロトタイプ機として1968年4月に初飛行、デモ機としても使用されました。その後Delta航空等で使用された後、1973年にフィリッピン政府(PI-97)に売却されています。

ロッキード L-100 cn4197 CF-PWO Pacific Western Airlines 〔1967年 羽田空港〕

カナダのパシフィックウェスタン航空は、計7機のL-100シリーズを使用しましたが、1967年製造のこの機体は、L-100型で、他は、L-100-20とL-100-30の長胴型でした。なお、この機体は1969年7月ペルーでの着陸時に大破しています。

ロッキード L-100 cn4229 N760AL Airlift International 〔1967年 羽田空港〕

1967年11月エアリフト・インターナショナルへ引き渡された機体ですが、1968年12月アラスカでクラッシュ大破しています。

ロッキード L100-20 cn382-4362 N7984S Southern Air Transport 〔1971年頃 横田基地〕

1970年、サザーン・エアへ引き渡された機体ですが、一時期横田をベースとしたチャーター便で、良く見られた機体でした。なお、L-100-20への胴体延長は、機首左側乗降ドアと3個ある丸窓最前方との間を1.524m延長していることで、見かけ上の区別が可能です、

ロッキード L100-20 382-4593 RP-C101 エアロトランスポート 〔1976年頃 羽田空港〕

1975年Philippine Aerospace Development社へ引き渡され、直後1978年までAero Transport社へリースされていました。その後自社で使用後は、フィリッピン空軍籍となり、2008年頃まで使用されました。

ロッキード L-100-30(Model 382G)cn5025 N405LC リンデンカーゴ 〔2000年頃 横田基地〕

1985年製造後、1987年から1999年まで中国籍(B-3002)Air China、China Air Cargo等で使用されていましたが、1999年からLINDEN AIR CARGO所有(N405LC)となり、横田等でも見ることができました。
なお、この機体はその後、COULSON社が開発したNext Generation Airtankerとして改造され、2015年から約2年間オーストラリア政府との契約でCoulson Flying Tanker社によるブッシュファイアー・シーズンのファイアーファイテング作業等に従事している等、特別な機体となっています。

ロッキード L-100-30(L382G)cn382-4895 TR-KKD ガボン政府 〔1990年代 成田空港〕

1981製造後ガボン政府に引渡された機体ですが、一時期オランダ籍(PH-SHE)及びMAXIMUS AIR CARGO(A6-MAX)等で使用されており、現在は UAEの空軍籍(1216)となっているようです。