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AIC航空写真館


ピックアップ写真館 Vol.25 : 初期のジェット輸送機 Part.2(大型ジェット貨物機の普及)

2021/09/12 ピックアップ写真館

本項では、大型ジェット輸送機が普及を始めた1960年代後半の機体が主で、その最大の要因が、ターボジェット・エンジンからターボフアン・エンジンとなり燃費航続力等が向上したことにあったことがうかがえるものです。 
当時の憧れのジェット機でもあった、アメリカンエアラインズの707は、全面無塗装で磨かれたジェラルミン地は、ジェット時代のイメージそのものでした。

文・写真 : 鈴木 宣勝

ボーイング707-320C 19380/525 N7565A American Airlines〔1966年 羽田空港〕

1966年10月アメリカンエアラインズへ引き渡された機体で、貨物型のAmerican Airlines Freighterとして使用されました。写真は引き渡し直後の頃の羽田空港で、初期のAAの基本塗装、磨かれた全面無塗装、細い赤のライン、尾翼は丸型のAAマークです。なお、この機体は82年頃まで使用されましたが、その後は米空軍へ売却され、C-18A 81-0898に改造され使用されました。

ボーイング707-320C 19235/519 N7562A American Freighter〔1970年頃 横田基地〕

1966年8月 AAへ引き渡された機体ですが、塗装はAAのその後の新塗装となっています。AAの初期の基本塗装との違いは、尾翼の丸型のAAロゴマークから、赤青のAAマークとなりました。また胴体の赤いラインは、青白の帯となり機首には707就航当時からの機種名“ASTROJET” が記入されている。 なお、Astrojet名は、他機種でも使用されたことがあり、2017年AAのボーイング737シリーズ就航50周年を記念した737-800型(N951AA)は、初期のレトロ塗装で”New Astrojet“として、AAのキャンペーン機となっています。なお、この機体は1974年ブラジルのバリグ航空(PP-VLU)へ売却され、その後Varig Cargoとして運航中の1979年1月30日成田空港からリオへ向かった際、離陸30分後の位置報告を最後に消息を絶った事故となりました。“Varig Flight 967” 事故として非常に有名となった機体で、今でも一切の遺留品、残骸等が発見されておらず、乗員6名が死亡し、積み荷のブラジル在住の世界的な日系人画家「マナブ間部」の代表作100点、重要な絵画が失われたことによる美術的な損失としても、成田開港後の最大の事故となっています。

ダグラスDC-8-54CF 45674/201 N109RD 日本航空〔1969年 羽田空港〕

Vol.23:エアリフト航空 N109RDとして紹介した機体と同じ(1970年)で、直前にJALがリース機として運航していた時の撮影です。リース期間は1年未満でしたが、JAL塗装で羽田ではよく見ることができました。

ダグラス DC-8-62AF 46022/417 JA8036 日本航空〔1969年 羽田空港〕

1968年12月、JALへ引き渡された初めての貨物専用機DC-8-62AF WAKASAで、これ以降1972年に導入されたJA8056まで DC-8-62AFを5機購入しています。1988年まで使用されましたが、この機体の導入前後のころ、前項のN108RDリース機を含め6機のDC-8-50CF(Convertible Freighter)Jet Traderを貨物機として使用した経緯があります。なお、この機体の導入当初のころのみ、後部胴体に“COURIER JET TRADER ”の文字が記入され貨物専用機導入の意義が強調されていました。

ボーイング707-320C 18890/416 OO-SJH サベナ航空〔1966年 羽田空港〕

1965年4月ベルギーのSabena航空が購入した707-320C Convertibleの初号機です。羽田へのチャーター便は、競走馬の輸送が目的でした。1980年Air Cameronがリースしカメルーン空港への着陸時の事故で廃棄されています。

ボーイング707-320C 19664/643 PH-TRF TRANSAVIA〔1968年 羽田空港〕

当時発足したばかりのオランダのTransavia Airlinesが1968年5月から69年10月までリースし使用していた機体で、機首の機名“PRINS BERNHARD”です。その後はBritish Caredonian、Monarch航空 等で使用されました。

ボーイング707-320C 18880/413 EI-ANO エアリンガス航空〔1969年 羽田空港〕

1965年アイルランドの航空会社 IRISH INTERNATIONAL AER LINGUSへ引き渡された機体で、機首の機名“St Brigid”です。1986年最後はリビア航空(5A-DIX)で使用されましたが、他にFlying Tiger(N318F)等でも使用されていた機体で、塗装は、現在でも特徴的な、エアリンガス航空の尾翼のクローバーマークが使用されています。