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AIC航空写真館


ピックアップ写真館 Vol.26 : フライングタイガー航空( B707、DC-8 )

2021/09/13 ピックアップ写真館

フライングタイガー航空は1945年設立され、日本にも馴染みがある会社でしたが、一時期、世界最大の貨物航空会社であったこともあり、数多くの機種を保有していました。ジェット時代初期の使用機B707、DC-8から、その一部を紹介します。なお、胴体に書かれたFlying Tiger Lineは会社名の正式名称であり、1980年からはFlying Tigersに変更されましたが、米国内等に於いては、会社設立以前の“Flying Tigers(第二次大戦以前の日中戦争でのアメリカ義勇軍(American Volunteer Group: AVG(飛虎隊のP-40 ))として良く知られていました。そのパイロット・メンバー(シエンノート大尉等)が設立した会社ということで、”Tigers“の名称が尾翼に記入されていました。最初に紹介する機体は、当時のフライングタイガー社を象徴するものとして、1965年世界で初めて両極を通過する世界一周飛行を行ったB707-320C N322F “Pole Cat ”です。このFlightでは全員機長資格を持つ5人のPilot( TWA及びBoeing社Test Pilotの2名を含む)、FEが3名、Navigatorが3名、乗客27名(Rockwellの創始者であるCOL Willard F.Rockwell Srを含む)で、機体はキャビンへの追加燃料タンク装備、LittonのINS、CollinsのSSB Comの追加等、改修もかなり大がかりなものでした。

文・写真 : 鈴木 宣勝

ボーイング707-320C 18975/436 N322F “ Pole Cat ”FT〔1965.10.24 横田基地〕

1965年9月製造、Flying Tigersへ引き渡された機体で、間もなくの撮影です。 1965年11月14-17日 ホノルル空港を出発し、北極点及び南極点を通過、42.213Kmを57Hr27Minで、ホノルルへ戻り、初めての両極点通過世界一周飛行を記録しました。コースは、ホノルル空港から―北極点―ロンドン・ヒースロー空港、(滑走路の制限でリスボン空港が追加)、ブエノスアイレス空港―南極点―ニュージランド・クライストチャーチ空港、ホノルル空港、で、62Hr27Min (地上時間5時間)の記録でした。この機体は、その後1968年にBritish Caledonian航空 (G-AWTK )へ売却されました。

ボーイング707-320B 19004/459 N317F Flying Tigers〔1966年 横田基地〕

1966年1月7日、EL AL航空(4X-ATR)に引き渡された機体で、直後にFlying Tigersに短期間(1966年10月3日まで、N317F )リースされた機体です。 その後はEL AL航空の 4X-ATRとして1981年まで使用されていた機体ですが、Flying Tigersへの塗装変更は最少限であり、この独特の塗装で使用していました。

ボーイング707-320C 18880/413 N318F FlyingTigers〔1967年12月 横田基地〕

1965年Aer Lingus航空に引渡された機体で、Flying Tigersは1966年9月~1967.5及び67.10~68.4の間、短期間リース機として2回使用しました。塗装は胴体帯がAer Lingus社のままであり、前項(Vol.25:EI-ANO機)に、本機が1969年Aer Lingusに戻った際のフル塗装を見ることができます。

ダグラスDC-8-63 45929/367 N624FT Flying Tigers〔1968年9月 横田基地〕

1968年6月Canadian Pacific Airlines (CF-CPS)に引渡された機体で、直後にFlying Tigersに短期間(1969年7月まで)N624FTとしてリースされ、リースバック後はCP Air( CF-CPSその後C-FCPS )等で1991年まで使用され、その後はN728AL(Freighterに 改造 )として95年までATI等で使用されました。 この塗装は胴体部がCP Airの基本塗装のままで、胴体の文字及び尾翼のみFlying Tigers塗装となっています。 前項及び前々項の機体を含め、Flying Tigersが一時期、貨物輸送だけでなく旅客チャーター便用に、新造機等を短期間リースで使用した特徴的な時期がありました。

ダグラスDC-8-63CF 45991/380 N781FT Flying Tigers〔969年3月 羽田空港〕

1968年、Flying Tigersへ引き渡された機体で1984年まで使用されました。その後エンジン換装 DC-8-73CFへ改造され、German Cargo 、Lufthansa Cargo (D-ADUI 1996年まで)で使用され、Emery、ATI(N602AL)等でも使用されています。

ダグラスDC-8-63AF 46007/422 N787FT Flying Tigers

1969年Flying Tigersへ引き渡されたDC-8-63AFオールフレイター機で、1983年に改造後UPSへ売却(N808UP)、DC-8-73AFとして1988年頃まで使用されていました。なお、N787FTの登録レジは、2010年ボーイング社の787-8 Dream Linerのテスト用5号機に使用され、現在はセントレア空港での展示機としても見ることができます。この#5機は、787機で、それまでのRRエンジンでなくGEnxエンジンを初めて装備Flight Test(FT)用に使用されたことの登録レジだったと考えられます。

ダグラスDC-8-63CF 46047/447 N793FT Flying Tigers〔1982年 成田空港〕

1969年Flying Tigersへ引き渡され、1984年German Cargoへ売却後DC-8-73CF(D-ADUO)に改造されました。なお、1969年から1978年までの間ONA及びTransamericaへリースされていたことで、デリバリー時の塗装から、尾翼全面に書かれた、Flying Tigers文字へ変更されています。1980年前後の機体に見られました。

ダグラスDC-8-73CF 46117/525 N4689T Flying Tigers〔1987年 成田空港〕

1970年からDC-8-63CFとしてTIA(Trans International Airlines N4869T)が使用、1984年にDC-8-73CFへ改造後、1987年1月 Flying Tigersが購入、88年4月にN701FTと登録変更されたが、1989年8月にフライングタイガーが消滅し、Federal Express(フェデックス)に変った以降も、N401FEとなり1990年までは使用されていました。この塗装は、Flying Tigersが1989年消滅時の最後の正式塗装で、胴体ラインが無くなり、中央部に赤黒の斜帯、社名はFlying Tigers、尾翼は赤丸のT-マークが復活した塗装となりました。