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ピックアップ写真館 Vol.35:国内線ジェット化の主流 ANAボーイング727-200〔その1〕

2021/09/22 ピックアップ写真館

国内線ジェット化により最初に導入されたANAボーイング727-100型機は、1964年の導入以降8機購入(他に短期リースのN機4機)、1973年までにすべて売却されました。
後継の主力機としては、ANA727-200型を1971年2月羽田に到着したJA8328初号機以降、1978年に最終号機となるJA8355まで計25機を購入し、また、導入が遅れたことによる初期段階(1969年から1970年にかけ)に、PSA航空から計6機の727-200型を短期リースで使用しました。
なお、727-200型は、ほぼ同時期に導入開始されたローカル線用機材737-200型(24機導入)と供に、新塗装(モヒカンルック)が採用され、尾翼のANA社章(ダ・ヴィンチ・ヘリ)と供に、日本経済の高度成長期創成期のシンボルとしてのイメージがありました。
忘れられないこととして、導入間もない時期、JA8329機の1971年7月31日、雫石上空での空中衝突事故(ANA Flight 58 Accident)がありました。
乗員乗客162名全員死亡、当時最大の航空事故となりましたが、別途ANA727-100型で紹介していますが、1966年2月東京湾羽田沖墜落事故JA8302機からほぼ5年後で、導入間もなくの事故であり、その後のJAL747御巣鷹事故と並ぶ、ANAでも過去最大の事故となっています。 これ以降の727-200型は1990年最終号機がリタイアーするまで大きな事故はありませんでした。事故原因及び対策としては、相手の航空自衛隊機の訓練空域の徹底、国内全航空路エリアでのレーダー網の拡充等が行われましたが、東京湾事故でも課題となったFDR、CVRの装備については、この機体のCVRは未だ装備がありませんでした。

ボーイング727-281 20435/787 JA8328 ANA〔1972年 羽田空港〕

1971年2月羽田に到着した 727-200型機で、購入1番機です。1980年 Korean Airに売却(HL7348)し、その後MIAT Mongolian Airlines(MT-1054)となり、関空等でもよく見られた機体です。

ボーイング727-281 20727/966 JA8348 ANA〔1974年 伊丹空港〕

1973年領収した購入20号機で1984年に売却、その後ベネズエラのAvensa(アヴェンサ航空YV-96C )で使われていました。

ボーイング727-281 20571/884 JA8341 ANA〔1975年 伊丹空港 〕

1972年領収し、その後1984年に Korean Air(HL7367)に売却しています。

ボーイング727-281 20469/852 JA8331 ANA〔1975年 伊丹空港〕

1971年領収の4号機です。1980年にKorean Air(HL7350)に売却されました。

ボーイング727-281 20468/849 JA8330 ANA〔1976年 伊丹空港〕

1971年領収の3号機で1980年、Korean Air(HL7349)に売却。

ボーイング727-281 20467/866 JA8333 ANA〔1976年 伊丹空港〕

1971年領収、1984年にPiedmont Airline(N867N)、その後US Air(N741US)等で使用されました。

ボーイング727-281 20466/865 JA8332 ANA〔1977年 伊丹空港〕

1971年領収、1980年にKorean Air(HL7355)に売却、その後もアイルランドでカーゴきに改修(EI-LCH)使用されています。

ボーイング727-281 20724/954 JA8345 ANA〔1976年 松山空港〕

1973年領収、1986年からはAvensa (YV-92C )で使用されています。なお、撮影は松山空港ですが、727-200での経験としては、当時、事故対策として新規に装備が要求されたGPWSの飛行試験で、離陸形態終了後(ギア・アップ、E/G・TOパワー以外)で高度250ft以下まで降下、警報作動の試験を行った記憶があります。松山空港の立地条件から可能となった試験ですが、貴重な経験だったと思い出されます。

ボーイング727-254 20250/781 N547PS ANA〔1977年 鹿児島空港〕

1969年12月初飛行PSA航空に引渡された機体ですが、1970年1月から76年までANAがリース機として使用しました。ANAは自社機導入(1971年2月)前に、PSA航空から計6機をリース機として運用しましたが、PSA航空で使用された実績がない新造機で、ANAの整備基地である大阪の全日空整備で領収、整備し、日本の耐空証明を受け運用していました。従って短期リースであっても、殆どが5~6年のリース期間でした。

ボーイング727-281 20286/875 JA8336 ANA〔1975年 那覇空港〕

1972年に領収、1984年に売却、Piedmont Air Lines (N864N)等を経て、2000年頃は米国司法省(US Department of Justice)で使用されていた機体です。なお撮影は1975年の沖縄那覇空港で機首側面には、当時の「EXPO75 海洋博」のキャンペーンマークが描かれています。